CHIGIX

ちぎーの思い

指針・哲学とポリシーのあいだにある核。
私が大切にしている価値観と原動力を、分かりやすくまとめました。

ちぎーの思い

過去と未来の交差点に立つ

私の思考の中核にあるのは、時間軸に対する独特な認識です。多くの人が「現在を生きる」ことを重視する中で、私は「過去と未来の交差点としての現在」に注目しています。これは単なる現在主義の否定ではなく、歴史の連続性を意識した上で、今この瞬間の選択が持つ意味を深く理解しようとする姿勢です。

過去から受け継がれた智慧や価値観を現代に翻訳し、未来へと継承していく責任を感じています。この過程において、文化的アイデンティティを大切にしながらも、グローバルな視点で世界に開かれた姿勢を維持したいと考えています。

観客から創造者への転換

決定的だったのは、未来をテーマとした大規模な展示の体験でした。「未来に向かって進む一体感」「多様な人々が協力する姿」「ワクワクする可能性への期待」を肌で感じたとき、私は「観客」から「創造者」へと立場を変えたいという強烈な欲求を抱きました。同時に、その体験が終わることへの名残惜しさも感じ、「自分もあのような場を創る側になりたい」と心から思いました。

しかし現代社会、特にSNSが浸透した環境では、弱肉強食的な競争文化が蔓延しています。いいねの数やフォロワー数で価値が決まり、他者を蹴落としてでも上に行こうとする風潮。これは本来の日本的な精神性とは大きく異なるものです。

日本には長い間、相互扶助や弱者への配慮、共同体での支え合いという美しい精神性がありました。困っている人がいれば自然に手を差し伸べ、一人で抱え込まずにみんなで解決していく。競争よりも協力を、個人の勝利よりも全体の調和を重視する価値観です。

私は、このSNS的弱肉強食文化から脱却し、本来の日本的精神性を現代に復活させたいと強く願っています。それは過去への回帰ではなく、現代の技術や環境の中で、より良い人間関係と社会のあり方を再構築することです。

架け橋創造者としての使命

つなぐから架け橋へ

最も重要な自己認識の変化は、自分の役割を「つなぐ人」から「架け橋を作る人」として再定義したことです。

「つなぐ」という行為は、私が能動的にAとBを直接接続させる一回限りの作業です。これに対して「架け橋を作る」ということは、A地点とB地点の間に永続的なインフラストラクチャーを構築し、関係者たちが自らの意志で自由に行き来できる環境を提供することを意味します。

さらに重要な発見は、架け橋そのものの価値を直接アピールするのではなく、架け橋の向こう側にある「その先の需要」を創造することでした。鉄道の例でいえば、鉄道に乗ることの価値ではなく、目的地での「人に会う」「温泉に入る」「仕事をする」「観光する」という根本的な体験への需要を創造することで、自然に鉄道(架け橋)の価値が生まれるということです。

過去、現在、未来の橋渡しとして

終わりを余白に、未来へ手渡す――それが私の役目です。私は「クロスオーバープロデューサー」として、過去・現在・未来、リアルとバーチャル、人・生き物・道具・場所、そして見えるもの/見えないものの間に静かな橋を架けます。異なる分野や時代、価値観を横断し、それらを有機的に結びつける橋渡しを職能としています。

橋を渡る瞬間にはいつも区切りがあり、そこには感謝がふさわしい。私はその区切りを整え、感謝を見える形にし、余白を置き、次の一歩が自然に生まれる流れを設計します。

感謝は、神仏に向けるものに限りません。目の前の人へ、遠くの誰かへ、日々を支えてくれた動植物や、長く使ってきた道具へ、居場所を与えてくれた土地や建物へ――触れられる相手にも、触れられない大きなものにも「ありがとう」を伝える。その行為は、関係を閉じるためではなく、静かに次へと渡すための合図です。

誰かが受け取った感謝は、別の誰かへと手渡され、やがて巡り巡って私自身にも戻ってくる。日本で育まれてきた「祈り」や「作法」の根には、この循環への感度が脈打っていると信じています。誇りとは、排他の硬さではなく、関わりを丁寧に手当てし続ける柔らかい意思のこと。私はその意思に形を与えたい。

価値創造の革新的理論

需要創造という視点

私の活動における最も重要な視点は、需要創造です。既存の市場や需要に合わせて価格調整やマーケティング手法で対応するのではなく、人々が本質的に求めている潜在的欲求を顕在化させ、新しい価値観や生活様式への需要そのものを生み出すことを目指しています。

特に重要なのは、感情体験価値の創造です。「良かった」「知って良かった」「楽しかった」「わくわくした」「一生の思い出になった」という感情的な充実感こそが、人々が本当に求める根本的な需要だと理解しています。この感情体験を創造することで、自然に架け橋を渡りたい気持ちが生まれ、持続的な価値循環が実現されます。

融合の哲学:形即是空、空即是形

融合とは、要素の寄せ集めではありません。境界を澄ませ、何を残し何を手放すかを見極めてから、互いの良さが立ち上がるように往還させることだと考えます。

手触りのある現実と、記録と編集の利くデジタル。祖先から受け継いだ過去と、まだ形のない未来。人の温度と、仕組みの確かさ。これらが一つの場で呼吸するとき、形は一度ほどけて空になり、空からまた新しい形が立ち上がる――「形即是空、空即是形」という往復運動を、体験と運用の両面でそっと支えます。

「買われるより買ってもらう」精神

経済的には「買われるよりも買ってもらう」という能動的立場を重視しています。外国資本による重要な資産や文化的価値の買収を避け、日本が主体的に価値を発信し、世界に売るという立場を確立したいと考えています。

これは排外主義ではなく、文化理解を前提とした相互尊重に基づく真の国際関係を築きたいという願いです。外国人には日本の文化・風習を深く理解した上で関わってもらい、単なる消費的観光ではなく、文化的価値を理解し持ち帰ってもらいたいと思っています。

文化的アイデンティティの軸

私にとって稲荷信仰は自然な軸となっています。過去の民間信仰から現在の宗教的信仰への歴史的流れを、さらに未来へと継承していく役割を担いたいと考えています。稲荷・狐を象徴として、世界中の興味を持つ人が集まる場を創造し、伝統的な価値観を現代的な形で世界に発信していきたいと思っています。

これは単なる文化保存ではなく、新しい価値創造でもあります。古い智慧を現代に翻訳し、実際の生活や仕事に活用できる形で継承する動的なシステムを構築したいのです。

実践的な方法論

本質は守り、入口をやさしくする

私の活動において大切にしているのは「本質は守り、入口をやさしくする」という方針です。これには3つの柱があります:

  • 中核不可侵: 教義や文化の本質、医学的エビデンスなど、変えてはいけない核心部分は絶対に変えない
  • 入口の再設計: 言語、表示、導線、体験設計で近づきやすさを向上させ、誰もが安心してアクセスできる環境を作る
  • 小さな真珠方式: 小実験→測定→公開→標準化の積み重ねにより、再現可能で持続的な改善を図る

有限性の尊さと永遠化の役割

万博や祭りのように「一度きり」だからこそ価値があるという有限性の尊さを大切にしています。その寂しさを認めつつ、それを未来を紡ぐエネルギーに変える役割を担いたいと思っています。

運営者としては、顧客にとって「たった一回」「最後かもしれない」体験だからこそ、一生の思い出になるよう全力を尽くします。同時に、体験者としてもその瞬間を全力で味わう姿勢を大切にしています。

私の役割は、有限の瞬間を無限の記憶へと変換する媒介者・橋渡しとして機能することです。この姿勢を理念や仕組みに落とし込むことで、自分の事業・活動に活かしていきます。

具体的な取り組みと実践

六つの節度に基づく現場運営

現場では、六つの節度を胸に置きます。

まず惟神(かんながら)。祓うように目的と境界を澄ませ、役割と責任の所在を明らかにします。

次に依代(よりしろ)。灯や器、言葉や所作といった手触りのある媒介に、ページや記録、トークンなどのデジタルの入口を重ね、思いが行き来できる触媒を据えます。

合図が整えば中今(なかいま)へ。音と光、動線と語りのリズムで”いま、ここ”に皆で立ち会い、過去と未来が交わる一点を開きます。

場が開いたら円融無碍(えんにゅうむげ)。人と場所と体験とデータが滞りなく結び合い、表も裏も一つの身体のように動く状態を目指します。

区切りののちには直会(なおらい)。高ぶった心を日常へ静かに戻す儀を整え、「ありがとう」を小さな行動に落とし込み、帰路で始められる最初の一手を手渡します。

そして常若(とこわか)。終わりのあとも続く定期の更新を行事として刻み、忘れられない頻度と所作で循環へ戻します。完璧さより、続けられる強さを。

二層で束ねるアプローチ

この設計が生きるためには、感情だけでも情報だけでも足りません。私は必ず二層で束ねます。現物とデータ、物語と手順、個人と共同体。

たとえば祭りの灯は、小さな記念品として手元に残り、同時に語りや写真、音の記録として誰でも辿れる形で保存される。プロジェクトの幕引きでは、言葉の感謝を可視化しつつ、権限や手順、知識の受け渡しを明確に記す。家族やコミュニティの節目には、あえて静かな余白の時間を置き、胸の内に沈む余韻が次の行動を呼び起こすのを待つ。

こうして、心の温度を守りながら、役割は確かに次の担い手へ渡っていきます。

各分野での架け橋創造

文化・観光領域: 稲荷信仰を軸とした深い精神体験の提供により、現代人が求める心の平安、文化的アイデンティティの確認、精神的充実感への需要を満たします。

人材育成・教育領域: 個人の隠れた才能発掘と開花支援システムにより、自分らしさの発見、能力の最大化、社会での意味ある役割への需要を創出します。

国際交流領域: 文化理解を前提とした真の相互理解プログラムにより、深いつながり、異文化への本当の理解、グローバルな視野での自己成長への需要を満たします。

経済・ビジネス領域: 「買ってもらう」価値創造システムの構築により、本物の価値への対価、持続可能な関係性、誇りを持てる経済活動への需要を創出します。

コミュニティ・社会領域: 相互扶助の精神性が自然に機能する場づくりにより、安心できる居場所、支え合える関係、社会への貢献実感への需要を満たします。

世代間継承領域: 過去の智慧を現代に活かす実践的システムにより、人生の意味、歴史とのつながり、次世代への貢献への需要を創出します。

メディア・発信領域: chigix.comを拠点とした理念と実践の統合発信により、共感できる価値観、実現可能なビジョン、参加できる場所への需要を満たします。

技術・イノベーション領域: AI活用による創造性の拡張と文化的価値の現代化により、効率的な創造活動、技術と人間性の調和、未来への適応力への需要を創出します。

見えないところでの糸結び

橋渡しは、舞台の中央で語ることだけを指しません。むしろ多くは、見えないところで糸を結び直す仕事です。誰と誰が出会えば良いか、どの記録がどこへ繋がれば役に立つか、どの手順なら疲れやすい人でも無理なく続けられるか。

私は体力の負担が最小で済む導線を選び、短く強い区切りと、具体的な受け渡しと、静かな余白、そして軽やかな再出発の合図だけを残します。それだけで充分に、次は動き始めるからです。

目指す未来像

私が描く未来は、「各人が自分の意味資源(信仰・ケア)に安心してアクセスでき、日本人が日本人であることに日常的な誇りを持てる、文化的自尊が静かに更新され続ける社会」です。

これは以下の要素が統合された社会です:

  • 伝統的価値観の現代的復活
  • 需要創造による持続可能な経済
  • 文化理解に基づく国際交流
  • 過去と未来を繋ぐ架け橋としての役割意識
  • 弱者への配慮が根付いた共同体
  • 観客ではなく創造者として参加する人々
  • 万博的なワクワク感と一体感が日常化した環境

存在意義と社会への貢献

私の存在意義は、Archive(保存)・Form(現在化)・Design(未来設計)の3つの機能を果たすことです:

  • 過去を正確に保存し
  • 現在に手触りのある形で提示し
  • 理想の未来像を提示する

これらの活動を通じて、文化・教育・観光・都市・産業・福祉・エンタメを横断しつつ、常に信頼と節度を最優先に活動していきます。

私の行動と覚悟

基盤づくりから始まる実践

まずは自分の拠点であるchigix.comで、これらの理念とビジョンを明確に言語化し、体系的に発信します。総合的な理念と個別プロジェクトを整理し、訪れる人が私の目指す方向性を理解し、共感できる場を作ります。

等身大のメッセージと活動から始めて、一つ一つの成功体験を積み重ねながら、徐々にスケールを拡大していきます。「小さな真珠」方式で、小実験→測定→公開→標準化のサイクルを回し、再現可能な価値創造モデルを構築します。

協力関係の構築

同じ想いを持つ人々、異なる専門性を持つ人々との協力関係を積極的に築きます。一人では実現できない壮大な構想だからこそ、多様な人たちとの架け橋を作り、共に未来を創造する仲間を増やしていきます。

自分の即戦力スキルの不足を補いつつ、伝統的な価値観と最新技術を融合させ、新しい可能性を開拓していきます。技術は手段であり、人間性と文化的価値を高める道具として活用します。

持続可能性への配慮

この壮大な構想を実現するために、以下の持続可能性を確保します:

  • 文化継承の制度化と基盤整備
  • 多世代参加による知識・技術の継続的移転
  • 経済的価値と文化的価値の両立システム
  • 国際協力と文化的自立のバランス維持
  • 柔軟性を保ちつつ核となる価値観を守る適応力の育成

最後に:終わりをきれいに、次を強く

神仏に、目の前の人に、生き物に、道具や場所に――「接続の終わり」に感謝を伝えること。その一回一回が、関係を消すのではなく継ぐことになり、いつかめぐって自分にも戻ってきます。誇りは声高な旗ではなく、そうやって橋を渡し続ける日々の手つきから育つ。私はその手つきを、あなたの現場に合わせて編み直し、そっと差し出します。

私のこの想いは、単なる個人的成功を超えた社会変革への意志です。複雑な心理状態から始まった思索が、やがて確固たる使命感へと昇華されました。

過去の智慧と未来の可能性を繋ぐ架け橋創造者として、文化的誇りと経済的自立を両立し、世界に独自の価値を提供しながら自らの核となる価値観を守り続ける社会の実現に向けて、私は確信と情熱を持って取り組んでいきます。

この長期的なプロセスに、私は覚悟を固めて臨んでいます。なぜなら、それが「日本人が日本人としての誇りを持ち、その誇りが世界からも尊敬される未来」を実現する道だと信じているからです。

終わりをきれいに。次を強く。過去、現在、未来の橋渡しとして、ここから一緒に歩きましょう。